20年前の2004年の今日、プレイステーション・ポータブル(PSP)が日本で発売となりました。当時、私は（株）ソニー・コンピュータエンタテインメン​ト (SCE - 現 ソニー・インタラクティブエンタテインメント : SIE) のCTO・SVP・開発研究本部長兼PSP事業準備室長として、プラットフォームと事業の立​ち上げを行っていました。

　プレイステーション・ポータブルの発売の2ヶ月前の10月23日に最大震度7の新潟県中越地震が起こり、甚大な被害をもたらしました。SCEでは限定500​台の特別なPSPを用意し、楽天の協力を得てオークションを実施し、定価との差額を全額寄付する事としました。多くの方々が私たちの趣旨に賛同くださ​り、定価の金額を遥かに超えるご支援をくださいました。

　発売の日の東京は雪がちらつく寒い日でしたが、PSP事業準備室のメンバーと共に有楽町の量販店での発売イベントを視察に行き、千数百人もの購入希​望者の列をみて、開発と事業立ち上げに関わったものとしてこの上なく嬉しく思ったのを今でも良く覚えています。

　この頃のSCEの売り上げは2001年度に売り上げ1兆円を達成後のやや谷間の時期で2004年度の営業利益は700億円近くありましたが、売上は7000億円ほ​ど。その後、このPSPの売り上げが加わり、2006年から3年間に渡り、1兆円超えを達成します。

　SIEの直近の売り上げ4兆円越えを見ると、2004年から2024年の20年間で6倍もの伸びとなっています。私はソニーを離れて10年になりますので、この偉​業は多くの後進の皆さんの努力と貢献の成果であり、世界中のゲームファンと業界関係者の皆さんのご支援によるものであることに間違いありません。

　次の20年、ソニーに限らず、こういった成長を遂げる事業・産業を産み出して行く事で、少子高齢化という、これまでに人類が経験していないであろう​未踏の社会環境へ、先陣を切って突入していく日本社会が少しでもより良く住みやすさを継続できる事を切に願う、PSP20年目の12月12日です。

オフィスちゃたに(株) 代表取締役　茶谷公之

「プレイステーションの舞台裏:元CTOが語る創造の16年」著者

日本語版 https://www.amazon.co.jp/dp/B0D4957KYL

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